福島に住んでいると歴史が面白い
私は「嫌いな科目は何か」と問われれば、真っ先に歴史を挙げていました。高校の頃は「俺が何でこんなことをやらないといけないのか」と反発して、何度も赤点を取っていたほどです。皆さんの中には、私と同様に社会が嫌いで、(私のように赤点を連発する人は少ないでしょうが)ひどい点を取っている人もいるのではないでしょうか。
歴史という科目を嫌う原因として、「実感の乏しさ」が挙げられます。地理はまだ身近だからいいのです。特に日本地理は自分が今住んでいる国のことですし、何となく自分とのつながりが意識できます。公民もまた然り。結びつきが意識できる話が多いので、意外と面白かったりします。しかし歴史は別です。とにかく机上の学問。どうやってもつながりが意識できず、「ああそうですか」と納得するしかありません。これをどうやって好きになるのでしょうか。
……というようなことを、私も2007年までは思っていました。この年は風来坊だった私が福島に移住をしてきた年です。
生まれた時から福島県に住む皆さんは、あまり実感がないかもしれませんが、この県ほど史跡に恵まれた県はあまりないと思います。つまり、歴史が机上の学問ではなく、実際に見に行って実感を持てる学問になっているということなのです。
私はもともと旅好きだったということもあり、福島県全域に足を運ぶようになり、その土地の持つ歴史、文化、民俗芸能、そういったものに強く惹かれるようになりました。あまりにも面白すぎて、それを紹介する情報誌まで作成していたほどです。休刊した後も、時々ふらっと取材に出かけてみたり、細君と二人で会津の三十三観音めぐりをしたりしています。
その中で毎回思うことは、歴史的な深さがあるゆえに、探求すればするほど面白く、毎回違った気づきがあり、違ったふうに風景が見えるということです。
残念ながら、皆さんの半分近くは、大学入学を境にこの県を出てしまうことでしょう。しかし、知っていてほしいのは、皆さんの住んでいる県は多くの資源と魅力を有し、特に歴史の面白さは半端ないということです。
どうか地元や身の回りの世界に目を見開き、それを感受する心を持ってほしいと思います。パチンコと車だけがこの県の娯楽ではありません。心さえあれば、都会にはない魅力がたくさんあるんですよ。
木村