しんあいゼミナール

数学の勉強方法

高校に入り文理選択をする際、よく「数学ができないから(やりたくないから)文系に行く」という生徒を見かけます。これはとても不幸なことです。本来、自分が将来なりたいものから逆算をし、学部を決定し、文理を選択しなければなりません。自分の将来のためにも、ある特定の科目だけを嫌いになるような勉強法は避けなければなりません。
数学ができない子の根本を辿っていくと、結構小学校の分数くらいまで遡ることがあります。小学校の教育は、視覚を重視し、抽象的なものをなるべく具体的に処理できるよう、様々な工夫を凝らしています。分数なら、おそらく丸い紙を切って見せたりしたのではないでしょうか。
人間は自分の中の回路を通し、論理的な理解をしなければ記憶を保持できません。しかし数式や文字情報だけで論理的に理解していくというのは思いのほか難しく、そのためにグラフや表を使用します。図形も空間になると途端に難しくなるのは、ビジュアル的な処理がしにくくなるからです。
分数の理屈を、円を切った紙で飲み込むというのは、小学生にとってとても有用なことです。ビジュアル化されたものは理解がしやすく、自分の中での理屈が通りやすい。ただ単に分母をそろえて、分子を足していく作業とはわけが違うのです。
できない子は、この辺りから「暗記」を取り入れています。「数学は公式を暗記して運用することだ」なんて言いきる人もいて、実際にそういう面もないことはないのですが、それに移行するのは、どうやっても理屈での処理が難しくなってからにしてほしいものです。その基準は人によって違うのかもしれませんが、少なくとも、数1Aのレベル程度で起きてくる現象ではありません。
最近の子どもたちは、どうしても
1.問題を読まず、考えず、答だけを欲しがる
2.ビジュアル化を面倒くさがる
このような傾向にあります。まずは問題をしっかりと読み、それに対して考え、ビジュアル化をし、答を出していく。これが基本ではないでしょうか。数学はgoogleでの検索能力を高めるためにやっているわけではありません。論理的に物事を考える思考訓練のために勉強しているのです。面倒くさがらず、一つ一つの問題に向き合い、5分でいいので考える癖をつけてください。問題やグラフにはメモをたくさん書きこみ、自分なりに分かるまでビジュアル化して汚くしてみてください。それで分からないときには、私たちに聞いてください。思考すること自体を面倒と言ってしまうと、本気でAIに負けますよ。
私たち教師も、できない子に「くもわ」だ「みはじ」だやるのは最終手段です。(目先のテストの対策でこれを教え、生徒に自信を持たせることは悪くないと思いますが……) まずはしっかりと分かるまで生徒と向き合い、その子の思考回路に合った飲み込み方を見つけ出すことです。

木村

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