しんあいゼミナール

共通テスト 数学所感

数学の所感です。こちらも思っていたほど難易度は上がらず、むしろうまく誘導に乗れれば簡単だったのではないかと思うほどです。ただし、英語同様時間が非常にタイトであると感じました。今年から数ⅠAは70分になりましたが(ⅡBは60分)、それにしても終わるか終わらないか、ぎりぎりの受験生が多かったのではないでしょうか。

問題の形式は、だいたいセンター試験を踏襲しています。最初に公式等で簡単に解かせる問題を持ってきて、そこから徐々に原理原則側に移っていき、最終的に「よくこんなこと思いつくな」という解答に着地させる形式です。誘導的に進んでいくため、うまく出題の意図に乗っかって思考を巡らせていけば、非常に綺麗な形でゴールするようにできています。解いていて気持ちがいいです。

このような出題形式ゆえに、難しい計算をさせる、複雑な公式を利用させる、などということは一切ありません。使うのはごくごく教科書レベル、しかも「最新」シリーズレベルの教科書で十分な基礎知識のみです。しかし論理を追及してきますから、公式を暗記のみで済ませていると、誘導に乗ることができないと思います。なぜその式が成り立つのか、どういう理屈で解いているのかをきちんと把握していることが非常に重要です。

たとえば数ⅡBの大問1で、三角関数の合成について聞かれています。cos側から合成するように誘導されるのですが、加法定理と合成との関係性がよく理解できていないと、開始早々つまずいたのではないでしょうか。特に合成なんて暗記で済ませている人が多い部分なので、出題者もうまいところを突いてきたなと感じます。数列で漸化式をからめてきたのも同様です。

私が学生だった20年ほど前は、「センター試験レベルなら公式暗記でいける」とよく言われたものです。実際は暗記ではなく、暗記した公式の「運用」でした。現在はそこに原理を問う「思考」がさらに上積みされています。先生が良く黒板に式や図を書いて公式を証明してくれると思いますが、それこそが大切なのです。高校数学は難しいので、どうしてもやり方の暗記で済ませる人が多いのですが、今後ますますそういった勉強法は否定されていくことでしょう。

今回は難易度自体さほど高くなく、真に難しくなるのは記述形式が導入された時だと思います。しかし今回延期になったように、採点の煩雑さを考えるとそうそう実現できないのではないでしょうか。しばらくは現在の誘導系でくるのでしょう。だとしても、ハウツー的な対策は無意味・無価値であるということを念頭においてほしいです。数学は論理的な力、思考力そのものを鍛えるための勉強です。やはり普段から勉強する意義を考えながら、自分の頭を鍛えるつもりで取り組んでほしいと思います。

木村

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